新しき門出

ホームの近くに公園があります。こんな街中に?と目を疑うほどそれは広大なものです。萎れた姿を見るのが嫌、さりとて花の盛りを抜き捨てるにも忍びずで、部屋に一切生花を飾らない私は暇さえあれば、刈り残った草むらに隠れるようにひっそりと咲いている野の花を探したり、見上げるような楠や椎それにこぶしの巨木の木肌を撫でては悠久の昔に想いを馳せるのが好きでした。そうだ、死んだら灰にしてこの巨木の根に撒いて貰えばこの木の肥やしとなり春には真っ白な花を枝一杯につけ、秋には美味しい椎の実を拾いに子供たちが集まるかもしれない。昔冗談半分に「私が死んだら灰は祖母山に撒いてね」と約束した山仲間の男の子達も私が思いも掛けず長生きしたお陰で皆、先に逝ってしまい見果てぬ夢になりました。

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