新しき門出 1

早くに私の母である妻を亡くした父と親子で22年間べったり暮し、その父を看取ってから独り暮らしを続ける私の上を何時の間にか35年の歳月が流れて行きました。
奥さんにこそなれなかったけど、病弱な母に代ってから主婦暦70年のベテラン。何の痛痒も感じず、寧ろ独り暮らしの自由を楽しんで暮していました。が。生きとし生けるもの上を平等に訪うもの。それは老い。健康と、行動力を誇っていた私も90の坂を越えた頃からあちこち不具合が生じ始め、自慢の芝生は雑草畑と化し、垣根のアベリアは道まで枝を伸ばし通行妨害。室内は埃だらけ。友人達が見兼ねて人に頼めと言うけど問題がひとつ。私は人のしたことが気に入らない。超完璧主義者。暫くは近所の人を心配させながらよたよたとこなしていたけど歩行に困難を感じるようになっては、完全にお手上げ。先祖の墓守りの為甥を最近養子にしたけど自他共に認める口うるさい婆さんまで負ぶさるのも可哀そうとせっせと老人ホーム探し。こんな事の為に80も半ばを過ぎてパソコンを始めた訳じゃない!!!!。
探しあぐねてフト父の隠居所だった別府の隣家の奥さんが老人ホームに入居されたのを思い出して早速尋ねたところ、<快適そのものです>との答えに、即、体験入居を申し込みました。