2016-01-01から1年間の記事一覧

思い付くまま

某日、リハビリを受けに行く為バス停で待っていました。歳の所為か(93歳)立っているのが段々苦になりはじめたので、早目に出かけて誰も居ないベンチに腰を掛け待っていました。その内近くの学校が引けたと見えて小学校低学年の子供達が1クラス分位い集…

思い付くまま

継続的に通っているリハビリの為暑い日盛りに乗ったバスが満杯。運転席の後で杖を片手に金棒にしがみ付いて立って居ました。一番前の席の左に荷物を抱えた中年の女性、右に若い男性が座って居ました。暫くすると女性の方が「どうぞ」と席を譲ろうとしました…

讃婆

馴れない集団生活にオタオタしている内に歳月は容赦なく流れ三度目のお盆が巡ってきまし た。神道の家に育った私は仏事に暗く仏前で拍手を打ちそうになったり冷汗の連続でしたがさすがに三回目ともなるとお盆の行事も余裕を持って参加出来る様になりました。…

思い付くまま

「ほら、又来たよ」未だ日の高い内に夕食を済ませロビーのソファーで寛いでいたお仲間が一斉に視線を向けた先に小太りの若者がにこにこしながら頭を下げて居ました。ここの入居者のお孫さんで、長年家族と賑やかに暮していたのに急に1人になっては心細いだ…

異邦人

最近5−6年もご無沙汰だった友人達から頻繁に見舞い状が届くようになりました。と言うのも現在私の暮しているのは熊本県から大分県に続く大活断層に程近い別府市だからでしょう。 先月の第一波の折には流石の熟睡魔の私も飛び起きましたが、風の吹く頻度並み…

新しき門出

先日開催された入居者食事懇談会の折の余談に「皆さんに少しでも季節を味わって頂こうと土筆を取ってきたのですが、はかま除りが大変で厨房だけでは手が足りず私も家に持ち帰って夜なべに家族を動員してる」とのことに、思わず「暇を持て余している入居者も…

新しき門出

1学年に二度も転校する様な典型的な転勤族の娘に生まれた私は<引越しの荷物になるから>と言う理由で生涯お雛様を持つ事が出来ませんでした。 そんな娘が哀れと思った父が小学校3年の時ボーナスをはたいて、少し名のある画家の 立ち雛 の掛け軸を買ってくれ…

讃婆

此処を終の棲家と決めてから早いもので二度目のお正月が93歳の私の上を静かに流れて行きまし た。初めて迎えた新年は、此処の暮らしに馴染むのが精一杯でお餅つきと、初詣で位しか記憶に 残っていませんが、気の合う話し相手も何人か出来、顔も覚えて貰える…