新しき門出

1階のエレベーターの横に賑々しいポスター。大運動会 の予告です。スポーツ大好き人間の私が見逃す筈がありません。早速フロントに飛んで行って、「運動会があるんですってね。走るのに杖を使っても良いんですか?」まさか!と笑われましたけど、こちらは興味深々体の不自由な人も多いのでシニアパラリンピックの再現かと首を長くして待っていました。さて、当日カメラをぶら下げて早めに会場を覗くと、何時も会議を開く小学校の教室位の部屋にいろ紙で作ったチェーンが一面に張り巡らされ、壁にはペーパークラフトの花を飾り、運動会というより、クリスマスパーテーか、サプライズバースデーパーテーの様相でした。さて続々と選手が集まり男性入居者による、力強い選手宣誓と共に戦いの幕は切って落されました。
赤組は鉢巻姿も凛々しい車椅子軍団。白組は歩行可能者の折りたたみ椅子軍団。どちらも座ったままの競技開始です。選手には赤と黄に色分けされた麺棒様の物が配られ、両端にスーパーで使うようなバスケットが立てられました。号砲ならぬホイッスル一声で真ん中に置かれたビーチボールを、その棒を使って自軍のバスケットに入れると得点になる仕組み。ネーミングだけは堂々とホッケー!!! 次なる競技は 魚釣り 30cm余りの竿の先に磁石を付けた糸を垂らし、空のビニールプールのなかにクリップを付けた大小様々の写真がばら撒かれているのを釣り上げると裏に得点が書いて有ると言う趣向。選手一同身を乗り出しての熱戦の余り糸を縺らしては大幅に時間のロス。
途中の応援合戦が本日一番の見もの。参会者一同にピンクのボンボンやタンバリンが配られ、スタッフの中から選ばれ両軍の応援団長が登場。どちらも女性。先ずは赤組から。近頃の華やかなチェアガールの応援を見慣れているので思わず身を乗り出していると、なんと、旧制の高等学校の応援団よろしく3・3・7拍子でチャッチャッチャとやり始め髪を振り乱し、飛んだり跳ねたりの熱演に敵も味方も大拍手。すっかり気圧された白組は何やらぼそぼそと言って引っ込んでしまいました。誰でも一度は経験した運動会の玉入れ。これが老人ホーム版だとこうなります。スタッフの両軍の籠役がそれぞれ背中に籠を括りつけ両軍の間を這い這い行進。自分側の籠に玉を投げ入れ多いほうが勝ち。最後の集計では皆童心に還って大声で<ひとつぅ、ふたつぅ>と数えました。結果は白組の惨敗。でも楽しい楽しい2時間の大運動会でした