[独り言」詐欺に引っ掛かる年寄り引っ掛ける年寄り

久し振りで街に出た。元来がアウトドアー派で野山は駆け巡っても市中に出る事は殆ど無い。
おのぼりさんよろしくきょろきょろしながら歩いていると、いきなりコートの袖を引っ張られた。
振り返ると見覚えの無い80半ばの老婦人が「奥さん相変わらずお元気で結構ですね。
お庭の掃除をしていらっしゃるお姿を見て皆で感心していますのよ」「これは御見それして失礼しました。どちら様でしたかしら?」「お宅の一段上の者です」 一段といっても三メートルもある石垣の上、殆ど付き合いも無い.
それからが立て板に水.私は家内の姉。あの家に越してきた時から同居しているが入退院の繰り返しで近所とは殆ど付き合いが無い <どうして私の事知ってるの?> 私の手にした携帯をちらちら気にしながら「妹は親戚の手伝いに行っているので家には居ない。今日は私の誕生日なので妹に頼まれてお赤飯を買いに来た」<なぜ近所のスーパーでは駄目なの? ここら辺りで流石に胡散臭いと思い始める。
大勢の人の行き交う街の真ん中で散々喋った挙句「一寸500円お借りしたくて声をお掛けしましたの」そらおいでなすったと聞き取れなかった振りをして「人を待たせてをりますので、失礼しますが一度ごゆっくりとお茶を飲みにいらっしゃって下さい」とさっさと別れました。
これって新手の寸借詐欺?
なんたる知能犯。
100円なら相手にもされない。
1000円なら警戒される。
ワンコインなら返して貰えなくても惜しくない。
若し本当にご近所の方なら悪い。
 私みたいなお人よしが4〜5人捕まれば年寄の小遣い稼ぎには上々。
人品卑しからず、弁舌爽やか、一体どう言う人種なのだろう?
あの頭の回転の速さと、人を逸らさぬ語り口を武器に一生をこうしておくってきたのだろうか?
後日上の家に確認した所ご兄弟はもう一人も残っていないとの事でした。