{独り言}引っ掛けようとして引っ掛かった男の子

古い話です。私が未だ高齢者と呼ばれる以前の夏の暑い日、かなり派手なムームー風のワンピースに鍔の広い日よけ帽、サングラスといういでたちで歩いていると道端に停まっていた赤いスポーツカーから「今日は」の声、他人事だと思って通り過ぎようとすると再び「お久し振りです」振り返ると車中に若者が3人。とたんに中の一人が聞こえよがしに「なんだ、ばばあじゃないか」 ≪ははあ、若い女の子と見間違えてスポーツカーを餌にナンパしょうとしゃがったな≫ と思うと同時に頭の中に道楽者の弟に手を焼いている姉のイメージが出来上がり、「あら!信ちゃんじゃないの、又仕事変わったんだってね。今何してるの?近頃は私の処にも寄り付かないとお姉さんが心配してたわよ。ここまで来たんなら一寸お姉さんの家に顔を出して帰りなさいよ」と車を覗き込むと同乗の2人は本当の知り合いかとばつの悪そうな顔をしているし、声を掛けた本人は アーとかエーとか意味不明の言葉を残すと慌てて走り去りました。
段々遠ざかって行く赤いスポーツカーを眺めながら ≪ざまあみろ、これに懲りたらばばあ、ばばあと、気安く呼ぶな≫ と心の中で快哉を叫んだ事でした。
今は、寄るとしなみですっかり人間が丸くなってこんな事は決して致しません????