{独り言}おばさん達が怯えた結婚式

親族の一人に婦警になった娘がいます。子供の時からとても正義感が強く未だ小学生の頃から将来の夢は警察官。女の子らしい習い事は一切無し、休みの日にはせっせと冒険学校に通いアウトドアの知識をしっかり身に付け、短大も福祉関係、部活も剣道に弓と警察官を目指してまっしぐら。遂に夢は現実となり無事警察学校も卒え長年の夢であった婦警さんになりました。
前置きが長くなりましたが話はその娘の結婚式の事です。
男勝りの婦警さんも年頃になり同じ職場で良き伴侶を得たからと結婚式の招待状が届きました。当日いそいそと式場に入った私の目に映ったのは‥‥‥
逞しい体躯を黒のスーツで包み、日焼けした顔に短く刈った髪、鋭い眼光の若者の群れ。結婚の披露宴らしい華やかな振袖姿は殆ど目に入りません。
公共の式場らしくサービスもお揃いの着物を着たおばさんたちです。それが皆固い表情で壁際に並んでいました。宴酣になり新郎新婦がお色直しに立ち程なく戻って来た姿は? 第一礼装用とでも云うのでしょうか、金モールの付いた華やかな制服で二人揃ってパッと敬礼をしての入場です。途端に横でビール瓶を抱えて立っていたおばさんが ≪なんだ警察の方だったんですか≫ と、ほっとした表情になりました。貴女は一体どんな人の集まりだと思っていたの? しかし私が今まで参列した中で一番心に残った結婚式でした。