{独り言}うば桜のお花見 

家から歩いて7〜8分の処に広い公園があります。
時は春真っ盛り。花を楽しむだけなら車で行けばもっと良い場所もあるけどそれでは飲めないので桜もほどほど道のりもほどほどの公園に、ある晴れた日、カメラと乾き物の肴それとワンカップ清酒をぶら提げて杖をひいた。満開の桜の下は先客がブルーシートを広げて宴たけなわ、仕方なく土手下のやっと花が付き始めた若桜のそばのベンチに席を定め独りきりのうたげ。
願はくば花のもとにて春死なんと、詠んだ西行法師の気持ちも解る判ると、独り感傷に耽っていると甲高い悲鳴と共に芝滑り用の橇が横をかすめ目の前でひっくり返った。見ると4歳ぐらいの男の子。泣きもせず又橇を引張って土手を登って行く。下では若い父親がひもを引張れ、後ろにもたれろ、と懸命のコーチ。こちらはショー付きのお花見とはとんだ儲け物とちびりちびり。父親に正面衝突しそうになったり、橇から放り出されたりしながら何度も挑戦している内に直滑降成功。思わずぱちぱちと拍手。≪上手くなったね、大きくなったらリュージュの選手になってオリンピックに出られるよ≫ と言うと父親からも、よかったなと褒められ嬉しそうに又土手を登って行きました。決して諦めないで努力する気持ちを大人になっても忘れないでね。花も実もあるお花見でした。