アメリカの年寄り

            
アメリカ礼賛と取られると心外だけど、滞米中は自分が年寄りだと言う自覚は殆どありませんでした。入国時 ツーオールド と言って写真も指紋も撮って呉れなかった事を除いて。 友人は日系二世、其の娘は三世で夫はインド人。足繁く出入りするのはアジア人と白人が半々位いなので平均的なアメリカ人のコミニュティーだと思います。一番気に入ったのは老人を年寄り扱いしない。女だから親切にしてくれるのはお国柄。体にハンデのあるものに手を貸すのは日本でも同じ事。 ただそれだけ。スポーツの観戦でも、遊園地でも、買出しでも、ドライブでも、知人宅のパーティーでも、必ず誘いが掛かります。尤も此方の年寄の気の若いこと。 或る日、孫のサッカーの試合の応援に出かけたときのこと、孫にパスが回って来ようものなら名前を連呼して ゴーゴー と腕を振り回しての大声援。外人でも孫の可愛さは同じと見えてお年寄の多い事。それが英語スペイン語とりどりの大声援。 テレ症日本人たる私は呆気に取られるだけ。失敗したのがディズニーランド。流石の友人もジェットコースターは敬遠していたが平地のホームに日本の遊園地のような汽車が止まっているのにいそいそと乗り込みました。誘われた私も92歳が乗るぐらいならと乗り込んだのがとんでもない絶叫マシン。外に振り落とされて死ぬかと思った。やっと帰着して平然と下車した友人に続こうとしても足がもつれて立てない。見かねた男性に手を貸されやっと降りた。歯の根も逢わぬは大げさだけど散々恨みを並べる私に向かって「これが一番緩やかなマシーンだから私もこれだけは乗るよ」だって。アメリカのお年寄に脱帽。