米寿のバックパッカー

               
小学校〜女学校と同じ学び舎で過ごしたボケ残り3人、何時お迎えが来
るか判らぬ身なればせめて生ある内に楽しかった昔話でもしてあの世と
やらでの思い出のよすがにしようと、某日温泉に入りながら富士山が見
られるとのうたい文句に引かれて河口湖で暫くのんびりしょうという話
が纏まった。 いそいそと荷物を集め始めて、はたと困った。どうやっ
て荷物を運ぶか?片手の杖は絶対手放せないし、もう一方はよろけた時
の用心にあけておかねばならないとなると?  今までの旅といえば
我が家のガレージに待機している愛車に手あたり次第荷物を放り込んで
の気侭な一人旅ばかり。さりとてこの超高齢ドライバーが他人さんを乗
せて長距離を走る自信もなし。考えあぐねているとあつた、背負えばい
いじゃん。別に体裁を構う年でもなしと、物置を引っくり返すと出てき
た。出てきた。昔散々お世話になった、でっかいキスリング。何せ50
年のビンテージもの。ごつい帆布製であちこち分厚い革が使ってあり
風袋だけでも3〜4キロは有りそう、この上荷物を詰めれば立ち上が
ることも出来ない。2〜3日考えた末手持ちのレインコート布地で
ランドセルのアネサン風の物を縫って背負ってみると頗る具合が良い。
これこれと小躍りしながら荷作り、完全装備で鏡に映った姿は? 
多少丸くなった背中はリユックもどきでカバー、手にした杖は今流行の
トレッキングストックに見えなくも無い。
いざ 富士山麓目指して出発!!!!