懐かしの小学唱歌

洗濯物を干して一寸一服と付けたテレビから耳に飛び込んだのは、懐かしい歌声♪兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川♪ 画面一杯に広がるのは広いホールを埋め尽くした聴衆とステージの上で歌う、さだまさし。目を凝らすと愉しげに合唱しているのは既に古希の坂を越えたお年寄りばかり。そうです、我々の年代でこの歌の歌えない者は一人もありません。仰げば尊しわが師の恩、や蛍の光と同じように。何故って戦前は日本中の小学校が国定教科書で同じことを教わっていたのですから。私の様に転勤族の娘で1学年の間に2回も転校しても学力の差をあまり感じませんでした。それにも増して何と共有の思い出の多いこと。齢90に近い仲間がたまに集まった折にも出る歌は<故郷><故郷の廃家>などです。明治生まれの母も同じ様な歌をよく知っていました。どんな人の前でも何の配慮もなく大声で歌え誰でも知っていた懐かしの小学唱歌。失はれ行く淋しさに密かに涙するのは年寄りの感傷でしょうか。