新しき門出

入居者の中に時折徘徊癖のある方が見受けられます。出入り口はロビーの真横フロントの斜向かい。癖のある人がフラフラとドアに近付くと、ロビーでお喋りを楽しんでいる誰かが気付いてすぐ後を追うし、スタッフも飛んで来て室内に誘います。食事の帰りでも車椅子を押すのは健常な友人。スタッフが恐縮して代ろうとすると[どうせ同じ階ですから」と、一緒に帰ってゆきます。  以前アメリカで知人の入居している老人ホームを訪れたことがあります。たまたま私の訪れた日が入居者の誕生祝だったらしく、プールサイドのビーチパラソルの下に三々五々集い生バンドの演奏で何組かの老人が楽しげに踊っていました。さて案内された室内は?入った所は広々としたロビー、豪華な調度品のソファーに寛いだお年より達が特大のテレビに見入って居ました。更に奥に進むと頑丈な鍵付きのドアがあって其の先に徘徊壁のある人々の居住区がありました。訴訟社会に生きるアメリカらしい心配りでしょうか?勿論物理的な設備は申し分ありませんけど、理解出来なくても他人と対面でお喋りするのは楽しい事ではないでしょうか? 立派な座敷牢に閉じ込められて可哀そうと感じたのは私だけでしょうか?
貴女ならどちらを選びますか〜?